『なかなおりのコツ』
 
『くまとやまねこ』
河出書房新社 1365円
湯本 香樹実 文
酒井 駒子 絵
別れるという勇気
  誰でも、いつか、大切なひとと別れなければならないときがある。悲しくて、さびしくてどうにもならないときがある。
  それでも、どこかでスイッチを切りかえ、また元気に歩き出さなければならないのが、生きているもののつらいところだが、この絵本をしんみり読んで、なんだか、別れる勇気、次を踏み出す気持ちを感じてほしい。
  白黒のさみしいトーンの絵本だが、なかよしのことりと別れたくまの気持ちによりそいながらページをめくっていくと、なんだか、ぽあんとあたたかい空気が流れる。
  その瞬間、白黒のページに少しだけピンクが入る。そうか、見返しの明るいピンクはそういうことだったのか。
  やまねこの弾くバイオリンの音、絵だけのページ、文字だけのページ、何も描かれてないページに想いが映し出されていく。
  子どもに読んでやっていて、つい涙を流してしまうのは大人だろう。それほど、子どもは別れに強いのかも知れない。
  ストーリーを紹介するのをためらってしまうほど、そっと大切に読みたい一冊である。