 |
| ▲品質管理部の享紺さん |
九鬼産業
四日市市尾上町で家庭用、業務用の各種ごま製品の製造販売する九鬼産業株式会社(渡辺伸祐社長)。健康志向ばやりでごま製品への関心が高まっているが、これを追い風にしながらも、消費者の視点に立った製品作りに徹しようとしている。
九鬼家は、戦国時代に熊野水軍を統率した九鬼嘉隆から続く名家。明治19年に8代目九鬼紋七氏が四日市市でごま油の製造を始めたのが同社の始まり。伝統的な圧搾製法は、現在も受け継がれている。製品は「九鬼太白純正胡麻油」、「二度焙煎すりごま」、「純ねりごま」を主力に50種類を超える。
原料のごまは、アフリカ諸国や中南米、中国などから年間約1万5千トンを輸入している。売上高58億円(2007年度実績)。
品質管理の徹底
食品への残留農薬問題が最近特に注目されるが、九鬼産業ではすでに20年前から検査体制を確立している。原料についてBHC、DDTなど塩素系農薬を中心に、規定以上に厳格な残留農薬検査をしている。
品質保証部の享紺正樹さん(31)は、毎日入荷するごまの残留農薬に目を光らせる。船積み前と入港時、工場搬入時の3段階で厳格に検査する。「検査はロットごとに行うので信頼性は高い。長年の検査結果の蓄積で、残留農薬が数字に表れないほど微量に検出されたとしても産地の特定ができるくらいのノウハウ(化学指紋)を持っています。品質について最終的な責任を負う部署なので、いつも胃が痛む思いです」
 |
有機栽培に取り組む
輸入原料の品質管理だけでなく、ごまの有機栽培などによる品質改良にも取り組んでいる。度会郡大紀町にある約2.4ヘクタールの自社農場で有機栽培をし、ここで収穫したごまは、極上のいりごま製品となり、「金胡麻」の商品名でデパートなどで販売されている。
この農場は新入社員がごま栽培の実地研修をする場にもなっている。 現在工場の焙煎工程を担当している昨年入社のM田達也さん(19)は、5月から9月まで農場近くの寮で、他の新入社員や先輩社員との共同生活をして研修を受けた。
5月に種まきをしてからはほとんど連日、除草と除虫の作業に追われた。夏の炎天下で、大量発生した「ごま虫」(シモフリスズメガの幼虫)を一匹ずつ駆除する作業やしつこく生える雑草の除去作業は、言葉にならないつらさだった。その上台風の被害に遭い、いつも500キロぐらいの収穫量が今年は120`しかなかった。「有機農法の難しさを身をもって知った。ごまは一粒も無駄にできなくなった」。ごまへの愛情が高まった。
|