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津市南が丘の閑静な住宅地の中に「刻字工房・有石」はある。館内には館長で、日本刻字協会の理事も務める紀平有石さん(56)の美しい作品が並んでいる。
紀平さんが刻字を始めたのは大学時代。最初、篆刻(てんこく)を習おうと思って行ったその先で「刻字」と出会った。刻字は、筆で紙に書いた文字の輪郭をとり、板に貼り付けのみで彫刻していく。紀平さんは、彫刻することで文字に命が吹き込まれ、生きてくる刻字に魅力を感じ、やみつきになった。
刻字とは、紙が発明される以前、木や石などに刻まれていた文字を参考に趣向を凝らし、芸術性を加味し制作されたもの。「篆刻」と間違いがちだが、篆刻は彫ったものを何かに捺し鑑賞するのに対し、刻字は文字を彫ったそのものを鑑賞する。日本では、茶室や寺社、旅館などで見かけることが多い。篆刻や「かな」などとともに書道の一部門だが、認知度の低さから書道の展覧会に参加できるようになったのは近年だという。
刻字の魅力は書・工芸・絵画の3つの要素が含まれているところだという。「刻字は文字を絵画的に表現し、意味を持たせるので、言語が違う人にも魅力感じてもらえるはず。これからどこででも受け入れられるような、いい作品を作っていきたい」と話している。
問い合わせは津市南が丘4ー9ー1の同館=電話059(225)9700=まで。 |