木工の技術を活かして地域貢献を行い、森の役割や環境を守ることの大切さを発信し続けているいなべ市大安町の大安中学校テクニカルボランティア部。総勢11人の生徒たちが7年間にわたって取り組んできた活動は今、国を越えて大きな成果を実らせ、県内外の注目を集めている。
工作機械がけたたましい音をあげる部室内で次々に木材が加工され、丸太のベンチが組み上げられていく。1年生がチームで手分けして作業を行い、上級生は1人で丸ノコやチェーンソー、溶接機などを駆使して迷いもなく加工を進める。その手際はまさに職人さながら。総勢11人の男子生徒で構成されるテクニカルボランティア部の部室は、正に木工製作所といった印象だ。
ベンチの製作に用いられているのは地域の山林から譲り受けた間伐材。この間伐材を使ったベンチ作りが、同部が98年の設立当初から続けている代表的な取り組みの一つだ。制作したベンチを地域の公共施設や団体に寄贈して利用者から好評を博してきた。6年目を迎えた昨年からはベンチの一般販売も開始。「安いのに非常に丈夫」と作りの確かさが口コミで伝わり、今では製作が追いつかない程の依頼が同部に寄せられる。また、ベンチの製作で出る木の端材も、ウッドチップや薪ストーブの燃料として地域に提供してゴミの排出ゼロも実現している。
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2002年からはベンチの販売で得た収益金を寄付として送り、海外貢献にも取り組んでいる。2004年の寄付ではカンボジアに井戸を建設。来年の2月にはスリランカにも第2の井戸が建設される運びだ。こうした同部の数々の実績が高く評価され、環境省の地域環境保全功労者大臣表彰など、多くの表彰を受賞した。
「小学生の時にテクボラ部が作ったベンチを見て、中学に行ったら入部すると決めていました。上級生を手本にしながら一つ一つ基本を習得して作ったベンチで、海外に井戸を贈ることができたのは嬉しかったです。これからも環境を大切にする気持ちで部活動を頑張りたいと思います」と同部部長の山本大介君。
設立の契機は環境意識
ベンチ製作や海外貢献などの活動が注目される同部だが、その活動の根底にあるのは、森林の管理・保全意識の高まりを想起したいという強い思い。地域や催しで木工教室などを開催しているのも、広く一般へ環境保護の重要性を訴えたいという願いからだ。
「立派な丸太がゴミとして捨てられている現状をなんとかしたいという思いがテクボラ部の出発点でした。日本は戦後に杉や檜をたくさん植え、いまや森林の4割が人工林となっています。しかし海外の木材が安く手にはいるようになり、国内の人工林は完全に放置されているのです」と同部顧問・出口省吾教諭。海外での木の伐採が熱帯雨林の破壊に直結することはもちろん、国内で放置された人工林が混み合って細くなり、本来森林が持つ水源涵養などの大切な役割を果たせなくなるなどの大きな問題を生んでいる。先月の台風では、県内の宮川村でも大規模な土砂崩れが起こったが、そのほとんどが人工林で発生していたという報告もある。
「生徒たちはベンチ製作以外にも、植林ボランティアやウミガメ保護への協力など、様々な団体と交流を図っています。森林環境保全の周知を活動の柱に据えて、自然豊かないなべ市の魅力を発信していきたいと考えています」と出口教諭。
問い合わせは同中学校=電話0594(78)0185=まで。
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