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独自の精力的な研究活動で全国から注目を集める赤須賀漁業協同組合。
「桑名のハマグリ」の育成研究に30年近くも取りくみ続けてきた同組合のこれまでを取材した。
開港永禄4年 赤須賀漁港
永禄4年(1561年)開港という県内屈指の歴史を持つ桑名市赤須賀漁港(赤須賀漁業協同組合・秋田清音組合長)は、明治時代には県南部方面にまで船を操り、伊勢湾を縦横無尽に航海していた歴史ある漁師町。主な漁業対象は、「その手は桑名の焼きハマグリ」の言葉で知られる通り、ヤマトシジミやハマグリ・アサリなどの貝類や黒海苔の養殖。
「他の地域と同様、高齢化と後継者難には悩まされていますが、漁師も舟も多く、まだまだ活溌な漁港。人数が多くても決まりごとがすぐに決まるまとまりの良い組合です」と同漁協青壮年部研究会会長・水谷隆行さん。
漁獲量の減少に熱意で取り組む
同漁港に大きな変化が訪れたのは昭和50年代。周辺環境の変化が要因となり、55年をピークにハマグリの漁獲量が年々減少の一途を辿り始めた。昭和40年代後半に年間3000トンあった漁獲量は、平成元年には1トンにまで激減。深刻な事態を憂慮した同漁協青年部は、昭和52年に研究会を組織して、ハマグリの種苗生産に漁協として全国で初めて取り組んだ。
当時から現在に至るまで、研究を主導してきたのは現在の秋田組合長。モデルケースもないまま始めた研究は試行錯誤の連続だったが、全国各地に足を運んで情報を集め、粘り強く育成研究を続けてきた。市の農林水産室関係者も、「秋田組合長のこれまでの努力がなければ桑名のハマグリは既に絶滅していたかもしれない」という。
平成元年には、現在の種苗生産施設を建設して最新の設備によるハマグリの産卵・育成を開始した。貝のエサとなる植物プランクトンの培養も行うなど、独自のノウハウが蓄積された研究施設は全国から高く評価され、多くの見学者が訪れている。平成5・6年には人工干潟を造成して、様々な調査も開始。こうした長年の努力が実を結んだ結果か、ここ数年はハマグリの漁獲量が年間30〜40トンにまで上昇してきた。
自然の大切さを児童にも啓発
同組合は、「子供の頃から海資源の保護意識を」との思いから、地元小学生によるハマグリ種苗の放流や給食へのシジミの提供など、教育機関と連携した環境・資源保護教育にも取り組んでいる。地域の人々を招く形で毎年7月に開催している「赤須賀漁業まつり」は、今年も多くの来訪者で賑わった。また、川や海への影響を考えて山林への植樹も行っており、2年前からは岐阜県の東白川村の山林地域から児童を招いて、干潟の体験や観察会なども実施している。
「ただ海を綺麗にしようと訴えるだけではなく実際に漁港や干潟などを見てもらうことで、山や川を綺麗にすることの大切さを感じてもらいたい」と水谷さん。体験学習に参加した地元の小学生が、港の清掃を申し出るといった成果も現れている。
続く密漁に情報発信で対抗
こうした同組合の努力で維持されてきた地域の海資源が今、密漁者による乱獲に悩まされている。組織的な密漁や一般市民の密漁が後を絶たないのだ。「大切に育てた貝が獲られてしまうのはもちろん、子供たちが印を付けて放流した貝まで獲られてしまうなど、密漁には大変残念な思いをしています」。同組合は今後も活動を通して情報発信を行うことで、海資源管理の重要性を周知していく考えだ。
“海は皆のもの、獲って何が悪い”という自分に都合の良い理屈で密漁を行う者が増えれば、貴重な海の資源がどうなるかは容易に予想できる。我々の食卓に安定的に海の幸が提供されるのは、しっかりと漁獲量を規定して資源を守り育てている漁業者の努力があってこそという事実を今一度かみしめたい。
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