|
無謀・困難と周囲から言われ続けながら健常者と障害者が手を取り合って大きく成長した「人情集団An-Pon-Tan」の「夢のバリアフリーミュージカル」。これまでの2回の公演で大成功を収めた同団が今年、3回目の公演に向けて始動した。
真っ白なあたまでおそれずに行動!
団の名称は既成概念を持たない真っ白な頭(あんぽんたん)で、自由に行動していく団の姿勢を表したものです」と「人情集団An-Pon-Tan(あんぽんたん)」代表・小川直大さん(27)。設立のきっかけは、小川さんが学生時代に行ったミュージカルの写真を見て、障害を持つ少女が発した「私には出来ないな」という寂しげな一言。どうにかしたいとの想いを募らせた小川さんは、半年後の2000年に大学時代の仲間8人と「人情集団An-Pon-Tan」を立ち上げて、誰もが舞台に立てるミュージカルの実現に乗り出した。
連日、地域の施設に足を運んで障害者の参加を呼びかけたが反応は全くなかった。「当初のメンバーは私以外は障害者と接したこともない者ばかり。施設を訪ねても“怪しい”の一言。あんぽんたんという名前も受け入れられませんでした」と小川さん。
「無謀!」の声に負けずに実行
同年8月に練習を開始した同団だったが、「公演する以上、学芸会のレベルでは収めたくない。大きな会場でやることにもこだわろう」という小川さんの大きな目標に、「絶対に人が集まらないからもっと小さな会場でやるべきだ」という声が周囲から挙がった。高いハードルにも関わらず資金はゼロ。あまりに無謀と離れていくメンバーも現れた。「私も不安でしたが、初めから諦めないで燃え尽きるまで頑張ろうと言い続けました」。公演が終わったら解散すると決めて奔走する小川さんに、次第にメンバーも一つにまとまり、フリーマーケットや会費で賄っていた資金にも運良く助成金がついた。
ミュージカルの練習も健常者と障害者のコミュニケーションを取ることから始めなければならなかった。「ミュージカルの練習に来ているのに何をしているんだ?」という声も挙がる程だったが、練習に楽しそうに取り組む障害者の様子を見て小川さんは手応えを感じていた。ダンスやカラオケ・発声練習と練習が軌道に乗り始めると、口コミで噂が広がり障害者の参加も徐々に増えていった。
大成功の公演 もう一度の声
こうして多くの課題を乗り越えて2001年8月に公演されたミュージカル「ゆめのたね」は、周囲の不安視を吹き飛ばす大盛況を見せた。“夢と笑い”をテーマに、私たちにも夢がある! と舞台に上がった参加者がそれぞれの夢を叫ぶシーンは多くの共感を呼び、来場者は目標を大きく上回り2300人を数えた。「終わった時は燃え尽きて、もうこれで終わりだとホッとしました」と当時を振り返る小川さん。その後、舞台に参加した障害者の中から、オペラなどの活動に参加する者も現れ、障害者と健常者のダンスチームも立ち上がった。作業所であまりしゃべらなかった参加者がミュージカルの練習が進むにつれてしゃべれるようになるなど、夢のミュージカルは大きな成果を残していた。
こうした成果が反響を呼び、公演から日を追うごとに「自分の子供も舞台に立たせたい。もう一度チャンスが欲しい」という多くの声が様々な形で寄せられ始めた。疲れと満足感で2回目の公演は考えていなかった小川さんだが、多くの声に背中を押される形で2回目の公演を決意。半年後の2002年8月から練習を開始すると、90人を超える参加者が押し寄せた。大阪や岐阜など県外からの参加者も加わって2003年に開催された第2回公演「ねぇ、きこえた?」には、5000人の入場者が足を運び、公演を急遽1回増やしてもまだ入りきれない観客が出るほどだった。
やりたい気持ちだけあれば大丈夫!
同会では今月、2006年3月に予定している第3回公演に向けて役者と運営スタッフの募集を開始した。「応募資格は性別・年齢・障害の有無など一切問いません。やりたい気持ちだけあれば結構です」と小川さん。会費は月1000円。練習は8月から毎週土曜日の午後に実施する(第1週のみ日曜日)。練習場所は白子小学校・鈴鹿青少年センター・鈴鹿市体育館など。今回は名古屋でも公演する予定だ。
問い合わせは同団・小川さん=電話090(7916)8552=まで。ホームページ=http://www5e.biglobe.ne.jp/~anpontan/
|