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伊勢神宮のお膝元として栄えた古都・伊勢市。その中心部を流れる勢田川(せたがわ)は、かつて神宮への参拝客の水上交通の要所として、また物資輸送の拠点として親しまれた川だ。しかし、陸上交通の発達や下水道整備の遅れなどから、人々は勢田川から離れ、川の機能は低下した。その現状を改善しようとする動きが数十年前から始まっており、このほど市民と行政により「川の駅・二軒茶屋」が整備されるなど、新たな展開を迎えようとしている。
もう一度“船参宮”を
江戸時代、東日本から伊勢神宮へ参拝する客は、愛知県の三河や知多半島の常滑市から、伊勢市の勢田川河口の大湊(おおみなと)港や神社(かみやしろ)港まで船でやってくるのが一般的だった。しかし、かつての「おかげ参り」の流行も過ぎ、鉄道や道路の整備による陸上交通が発達したこともあり、伊勢湾の水上交通は衰退の一途をたどった。しかし来年2月に常滑市沖に開港する中部国際空港により、今また水上交通が復活する。
伊勢市神社港のNPO法人「神社みなとまち再生グループ」(中村清理事長)」は、神社港から新空港までの海上アクセスに取り組んでいる。新空港と神社港間約40kmを約50分で運行する「水上タクシー」を計画し、現在試験運行も行っている。この「水上タクシー」は他の定期船とは違い、乗客がある時のみ随時運行する完全な“海のタクシー”。中村さんは「この水上タクシーによって、新空港のアクセスだけでなく、観光都市・伊勢の玄関口として盛り上げていきたい」と語る。
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海の駅・川の駅実現へ
「船参宮」で大湊港、神社港に着いた参拝客は、その港で小型船に乗り換え、勢田川上流の二軒茶屋、河崎まで遡った。その水運の賑わいを復活させる取り組みとして、河崎と大湊港間の5.2kmをゆかりの木造船で結ぶ「海の駅・川の駅整備構想」も着実に進んでおり、8日に2軒目の水上交通拠点となる「川の駅・二軒茶屋」がオープンした。
伊勢市郊外の勢田川脇に完成した同駅は、以前からあった郷土の民具などを陳列した展示室と、和室や休憩所があり、駅の前には潮位に関わらず安全に船へ乗り降りができる桟橋も整備されている。オープン当日は、特産品を扱う市内6店舗の「伊勢のれん会」が企画した観光及び地域活性化への祭り「どんどこ祭り」が同駅前で併せて行われた。今年で20周年となる同祭は、毎年常滑市の囃子保存会のメンバーが船で二軒茶屋まで乗り付け、祭りを通して交流を図っている。
今年も十数人で、木造の帆掛け船「どんどこ丸」の上で囃子を披露しながら祭りを盛り上げた囃子保存会の山本晋作さんは、「20年前に伊勢市の市民グループから誘いを受け、毎年海を越えた交流を続けさせてもらっています。今日も常滑から船で90分ほどでやって来ました。この伊勢市と常滑市との交流が広がり、お互いのまちおこしへと発展すればと願っています」。
一軒目の「川の駅」となる「川の駅・河崎」はすでに昨年7月にオープンしており、隣接するまちづくりの拠点「伊勢河崎商人館」を中心に毎月第4日曜日には「伊勢のだいどこ市」も定期的に開催されるなど、勢田川流域の各地区でまちおこしが進んでいる。
今後、この「海の駅・川の駅整備構想」は河口の大湊港、神社港にも「海の駅」を設置するなど、観光だけではなく、市民の交通手段としての役割も期待されている。
水質改善に向けて
文化面でのまちおこしが進み、見直される勢田川。しかし水質においては県内ワースト1の調査結果が出ている。生活排水の流入が原因で、この様な水質状況となっているが、近年下水道の整備も徐々に進み、改善されつつある。取り組みの一つとして、国土交通省中部地方整備局・三重河川国道事務所と伊勢市、市民が一体となり昨年8月「勢田川きれいにプロジェクト(略称Skip)」を発足。同計画に参加した人々は、昨年11月に勢田川流域の各所で「水質一斉チェックワークショップ」を開催し、改めて川の汚染状況の現状を認識。そのデータに基づき、市民の提案により勢田川の河口5.6km地点に、段差の土留めと水質浄化、植生の保全などを目的とした“落差工”(愛称『勢田川とおりゃん瀬』)の設置を計画。今月16日には、市民らが集めた乳酸菌飲料の空き容器や竹炭などの浄化材の設置するなどの浄化活動が進んでいる。
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「勢田川の水質を改善するため、平成13年度から川底に溜まったヘドロの浚渫(しゅんせつ)や下水道の共同利用に取り組み、昨年発足したSkipの活動に伴い、より市民に根ざした、また利用価値のある落差工の設置に至りました。親水の機能もあるこの落差工に親しみをもってもらうことにより、多くの人に環境や水質改善の意識を持ってもらえれば」と同事務所の広田道夫さん。今後は早期の下水道整備に向け、抜本的な水質改善に取り組んでいく。
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