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正月の行事として我々日本人の原風景となっている獅子舞だが、担い手の減少から行事が行えなくなる地域も増加している。社会の大きな変化が原因だけに解決は容易ではないが、熱意で獅子舞に取り組む人々がいる。
●進む高齢化●
昨年12月19日、一志郡嬉野町黒野で黒野天玉神社神楽保存会による獅子舞の練習会が行われた。同町の獅子舞は町の無形文化財にも指定されており、伝統的で優雅な舞が特徴。太鼓と笛の音が響く中、熱心に練習が繰り返された。保存会代表・玉野善則(65)さんは、「会員の高齢化とともに後継者難に悩まされているが、小学生の頃から獅子舞に関わる機会を設けるなどして後進の育成にも力を入れている。小さい頃から獅子舞に親しむことで、将来の担い手へと育ってくれるのではないかと期待している」という。当日は保存会の会員以外に、地域の中学生3人が招かれ練習を行った。
嬉野町が位置する周辺地域は、平成11年に「獅子舞サミット」が行われるなど、県内でも獅子舞が盛んに行われている。隣町の白山町では川口地区と三ヶ野地区の2カ所で獅子舞が行われている。三ヶ野地区で10人の有志と共に獅子舞を行っている平生忠一さん(64)は、参加をきっかけに調べ始めた獅子舞に「すっかり取り憑かれた」という。暇を見ては県内各地の獅子舞を訪ね歩き研究を続けてきた。
「祭りのような威勢のいい掛け声だけで行う二見町の獅子舞や、天狗がユーモラスに腰を振る伊賀地方の獅子舞など、県内には多くの獅子舞があり、衣装や踊りの相違点も様々。調べるほどに興味が尽きない」と魅力を語る。
また、一見優雅に見える獅子舞だが、獅子頭を掲げて舞い続けるにはかなりの体力を要するという。特に一軒一軒を訪れて舞う門舞は1日を費やす大仕事。少子化や地域社会の変化とともに深刻さを増す後継者問題は、同地域でも悩みの種だ。
●地域で支える●
長島町北島区は、後継者の不在から獅子舞が継続できなくなった地域。同区で300年近くにわたって行われてきた北島獅子舞が途絶えてから既に3年。現在その姿は同町の輪中の郷が保管する資料映像でしか見ることができない。ネックとなったのは笛の吹き手の不在。譜面がなく、耳で演奏を覚えなければならない笛は、幼少時から獅子舞に関わり続ける必要があるため後継者が育ちにくい。北島獅子舞で17歳の頃から笛を吹いてきた加藤種光さん(70)は、いつか北島の獅子舞が復活してくれればと願う一人。「代々伝わる立派な獅子頭や道具はあるが、肝心の人がいない」と後進育成の難しさを語る。
一方、一志郡白山町川口の小野区では、同じく後継者の問題に悩まされながらも地域が一つになって獅子舞を支え続けている。400年前から続くといわれる同地区の小野獅子舞だが、少子化の影響で昭和44年から行っていた育成会による運営が難しくなり、2年前から全区民で保存・継承に取り組み始めた。紛失や破損から伝統を守るため、本物と寸分違わぬ天狗の面を2年がかりで彫り上げ、獅子の修繕なども地域の住民の手で行う。また、それまで経験に頼るしかなかった笛の演奏を譜面に起こしたところ、新たに6人の演奏者が加わった。「自然に恵まれた小野の獅子舞は五穀豊穣への感謝の舞であり、地区の団結の象徴。これからも郷土の誇りとして区全体で取り組んでいきたい」と小野連合区長・西川洋さん。
獅子は地域の連帯がなければ楽しげな調べに乗って舞うことはできない。地域の力が失われつつある現代だからこそ、県内各地の獅子が元気を取り戻す日が来ることを願いたい。
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