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Home > さんさんバックナンバー > 2003.8.7 > 1面
 
※掲載内容は取材時によるものです。詳細は各施設、店舗にお問い合せ下さい。

さんさん【1面】

防犯カメラ全戸設置へ
増える犯罪に桑名署が計画
桑名市大山田団地

桑名市大山田団地




 犯罪件数の増加に悩まされている桑名市大山田団地では、全戸に防犯カメラを設置しようという計画が持ち上がっている。全国的に見ても例のない計画だけに課題もあるが、増え続ける犯罪への抑止力としての期待も大きい。








● 大山田団地の悩み ●


 桑名市北部に広がる大山田団地は約1万世帯・3万人が住む県下でも指折りのマンモス団地。同団地が犯罪件数の増加に悩まされるようになったのはここ数年のこと。組織的に窃盗を働く中国人窃盗グループの標的にされ、急激に犯罪件数が上昇した。名古屋市のベッドタウンとして発展した同団地は、東名阪桑名インターから約4分。共働き世帯も多く、昼間は人影もまばら。窃盗団が仕事をしやすい環境が揃っている。
 昨年の桑名署管轄の犯罪届け出数は4531件。5年前の3倍にのぼった。その約4分の1を占める1116件が大山田団地で起こっている。これは隣接する員弁署管内をも上回る件数。桑名警察署生活安全課長・作田文達警部は、「新たに大山田署を作らなければならない程の状況だ」ともらす。全国の住宅侵入盗の検挙率は、平成11年度の61.2%から昨年度の27.4%と大きく低下している。この状況に県警も人員の現場への配置転換などで懸命に対応し、昨年度の検挙数は13年度を上回った。しかし急激な犯罪件数の増加のため、検挙率は逆に下がる結果となった。
 こうした切迫した状況の中で、桑名署が打ち出したのが大山田地区への防犯カメラ全戸設置計画。昨年から10回にわたる説明会を行って、住民に協力を要請してきた。住民側の危機意識も高く、設置そのものについては大筋で賛同が得られたが、負担する費用がネックになって合意には至っていない。桑名署が現在試算する住民負担は月額約500円。カメラの設置台数によっては更に負担が増える可能性もある。7つある連合自治会の中からは、「3万人の住民の意見をまとめることは不可能」との意見も出ている。中にはアンケートを行って準備会を設立しようという連合自治会も見られるが、全戸設置へのめどはいまだ立っていない。「一斉に設置することが難しいのであれば、手を挙げている自治会から始めることも考えている」と作田警部。桑名署としては、時間がかかっても防犯カメラの導入を実現したい考えだ。

 

● 増える防犯カメラ ●


磯山無線製造−防犯カメラ

 鈴鹿市磯山の株式会社塚本無線は、防犯カメラなどの製造・販売を行う精密機器メーカー。5年前から扱い始めた防犯カメラは、今や同社の主力製品となり、現在も需要は伸び続けている。
 同社の重田広次所長は、近年、防犯カメラがクローズアップされる大きな事件が相次いだため、問い合わせも増加しているという。多い日で1日に30〜40件の問い合わせがあり、数十個を全国へ向けて販売する。一番売れているのは5万円までの低価格帯の製品。ビデオを装備した専用受像器とカメラがセットになったもので12万円台と、進む低価格化も普及の一因だ。「防犯カメラは犯罪者にとって一番脅威となる防犯対策。これからも設置数は増える傾向にあるでしょう」。

 

● 住民の取り組み ●


防犯看板

 マイカル桑名近くの新西方5丁目では、昨年6月から町内の有志10人が新西方5丁目防犯委員会を組織し、パトロールや防犯看板の設置などの活動を行ってきた。町内で頻発する犯罪を見かねてのことだ。
 「ひどい時には1度に10軒がやられたこともあった。うちの前の通りだけで3軒が被害にあっている」と同会の渡辺守雄代表。同会の活動もあり、町内での犯罪件数は減少傾向にあるが、まだ安心できるまでには至っていないという。同会が今、頭を悩ませているのが、地域住民の参加意識の低さだ。「他の住民からは、我々が物好きでパトロールをやっていると思われているような風潮もある。防犯カメラの設置には賛成だが、それを付けたらもう何もしなくていいということではない。安心して暮らせる町づくりのためには、住民が団結して防犯にあたることがなにより大切なことだ」と渡辺さんはいう。先月から新たに12人が防犯委員会に参加。夜半のパトロール回数も増やして、更に防犯に力を入れる考えだ。

 

● タダではなくなった安全 ●


可動式カメラ
非常ボタン

 岐阜県土岐市泉町に位置する住宅地『おりべの丘』は、桑名署がモデルケースの一つとして挙げる東海地区初のセキュリティタウン。トヨタ自動車と内田橋住宅が共同で開発し、今年の3月から分譲を行っている。まだ住民も少なく、大山田団地と比べるのは難しいが、中央自動車道の土岐インター近くという類似した地形条件を備えている。
 「街にも先進のマンションのセキュリティを」という発想で開発が行われた同団地内には、固定カメラ8台、可動式カメラ5台が設置され、20カ所の街路灯には非常ボタンが備えられている。ボタンが押されると付近の可動式カメラが撮影を行い、管理を行う警備保障会社に通報。ガードマンが現場に急行し、状況によっては警察にも通報される。団地の出入り口は2カ所に限定され、出入りする車両を記録する徹底ぶりだ。
 「防犯カメラ設置をアナウンスしてから、不審車両の敷地内への出入りもなくなった」と内田橋住宅株式会社・金森茂雄チーフマネージャー。住民の負担は入居時共益費の10万円と月々1500円の維持費。6月に移り住んだ浅野さん一家は、「普通の団地よりも負担は必要だが、小さい子供がいるので安全には替えられない。カメラがあっても別に気にならない。むしろ安心感を感じる」という。
 日毎、増え続ける犯罪に対して、警察が期待を寄せるのが市民や自治体の防犯意識の向上だ。地域が協力して防犯の壁づくりを行い、犯罪の減少を図ることで、警察も捜査や事件処理に集中的に力を注ぐことが可能になるからだ。治安は警察だけではとうてい維持できるものではない。県民一人一人が、自らの問題として防犯を考え、地域ぐるみで安全な街づくりを行う姿勢が求められている。



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