さんさん【1面】
この時期、自然に恵まれた三重県では、各地でホタルが飛ぶ姿が見られる。 河川や水田を舞うホタルの光は、日本人の原風景の1つ。河川工事などで数を減らしていたホタルも、近年の環境意識の高まりと共に、その姿を回復しつつある。 県内でホタルの保護を続ける人々を訪ねた。
郷土愛で保護活動
四日市市赤水町を流れる竹谷川では、昭和48年の河川改修以降、川の生態系が一変し、ホタルなどの水中生物も姿を消していた。環境の回復と、川岸への桜の植樹などの努力が実を結び、ホタルがようやく姿を見せるようになったのは十数年前。しかし反面、多くの人が竹谷川を訪れるようになり、川辺にはゴミが目立ち始めたという。この状況を見かねた町内有志19人が、平成12年に『竹谷川の蛍と桜を守る会』を発足。現在42人の会員で竹谷川周辺の美化活動を行っている。 「当初はゴミの多さもさることながら、川が見えないほどに伸びた雑草の処理に苦労しました。ホタルを保護・育成するという目的を掲げたものの、誰もホタルの生態を知らず、一銭の資金もない暗中模索の状態でした」と石崎治良会長(66)。以来、ゲンジボタルが特別天然記念物に指定されていることで知られる、滋賀県山東町への訪問を皮切りに、講師を招いての『蛍の生態勉強会』の開催や『岐阜県ホタルサミット』への参加など積極的に活動を行い、ホタルと自然環境への理解を深めてきた。 「掃除や草刈りなど大変なことばかりですが、こうして活動を続けているのもホタルを楽しみに竹谷川に来てくれる人がいるからこそ。そして自分の住む町を大切に思っているからです」と石崎さん。最近では川辺を散歩する人も増え、捨てられるゴミの数も少なくなってきたという。今後はさらに川の下流域にまで美化活動の範囲を広げたい考えだ。
学校を挙げてのホタル保護・育成活動や都市部からの留学生を受け入れる『山村留学制度』で全国的に知られる藤原町の立田小学校。16年前に独自の教育課題として取り入れたホタルの研究は、今では地域を巻き込んでの大きな活動となり、毎年多くの見学者が訪れている。成虫の捕獲から卵のふ化、幼虫の飼育・放流・上陸調査、1年の活動の発表を行う『ホタルボランティア活動』まで、子どもたちが自主的に活動に取り組み、『ホタルの里・立田小学校』を目標にホタルの保護や飼育を行っている。 同校の藤岡玉樹校長(53)は、「本校では毎日の気温・水温の記録など、年間を通して常にホタルが身近にいる環境があり、子どもたちが自分で考え、それぞれの課題に取り組んでいます。ホタルを通して生命と環境、そして地域の人々と関わりながら『生きる力』を育んでいる様子は、まるで子どもたちがホタルに育てられているかのようです」と語る。 昨年からは、「昔はホタルが顔にぶつかるほど飛んでいた」という篠立地区にホタルを取り戻す活動を開始。『みんなでホタルの里づくりを考える会』を開催して地域の人々を招いた。子どもだけでは難しい、水路の工夫や日常的な草刈りへの参加を相談したところ、地域の老人会などから次々と手が挙がった。昨年12月には、地域のお年寄りと子供たちの手で埋もれていた水路が掘り起こされ、水が流れるようになった。ホタルの戻る日も近い。「『ホタルの里づくり』の目的は、ただ単にホタルをたくさん飛ばしたいということではありません。この素晴らしい自然を守り、地域の人たちと力を合わせて健やかなコミュニティーを確立してゆきたいのです」と藤岡校長。 小学校近くの赤尾川には、「大事なホタルを持ち帰らずに自然に帰してあげて」という子どもたちの想いが込められた手作りの看板が立てられている。地域の人々の想いに守られ、今年もホタルは次の世代へと命をつないでいく。
■ホタルが見られる時期・場所 ホタルが姿を見せるのは6月中旬まで。幼虫期のエサとなるカワニナが生息する河川や用水路周辺で見られることが多い。ゲンジボタルなどは人里の生き物なので、あまりにも澄んだ水辺では見ることはできない。
■ホタルを見る時の注意 ホタルの光は、繁殖のパートナーを捜す大事な目印。車のライトを付けて呼び寄せるなどの行為は慎みたい。
■榊原温泉ほたるコンサート 日時:6/7 午後6時30分から 場所:榊原温泉 ふれあいの里『湯の瀬』前 059(255)3110=久居市農林商工観光課
■横輪川で乱舞するホタルを見よう 日時:6/14 午後7時から 場所:伊勢市横輪町 横輪公民館前に集合 ■へいけほたるの鑑賞会 日時:6/14 午後7時から 場所:伊勢市丹生 『ふれあいの館』 費用:各100円 定員あり 0596(27)5411=宮川流域ルネッサンス協議会
■FSC森と蛍の夕べ 日時:6/7 12:00〜22:00(蛍鑑賞20:00頃から) 場所:度会郡大宮町滝原 『語らいの里・噺野』 05988(6)2502