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−自らの手で、日本酒を醸造し始めたきっかけは。
杜氏が高齢のため、酒造りに来ることができなくなったのが理由です。飲料メーカーに勤めていた私に、「このままだと代々続く酒蔵を閉めなければならない、そろそろ、戻って家業を継いでくれ」と父から言われました。いつかはこういう日が来ることを自覚はしていました。2年間、杜氏について酒造りをみっちり叩き込まれました。
−蔵に入り、酒造りをしてみて実感したことは。
酒の醸造に必要な麹作りが難しかったです。麹菌の均一な繁殖は手間のかかる大変な作業。温度や湿度にも神経を使います。日本酒は、米の品質・洗い方・蒸し加減、天候、仕込み水などの諸条件が変われば、ストレートに味に反映してきます。一定の味を維持することが大切です。
杜氏が去り、自分で初めて醸造した酒を、お客が例年通り評価してくれたときは、ほっと安心しました。
−老舗蔵元の6代目としてどんな酒造りをめざしていきたいですか。
蔵人のいない現在、ミニプラントを導入し、3人だけで営んでいますが、逆にこの手法の方が小回りのきく展開が可能だと思っています。酒造りを始めて5年、まだまだ勉強中の身ですが、既存の銘柄を守りつつ、新しいことにも積極的にチャレンジしていきたい。
将来的には純米吟醸のような、とことん味を追求した酒を造っていけたらと考えています。口当たりが良く、すっきりと飲みやすい、「日本酒離れ」の若い人にも、食事と一緒に楽しんでもらえる酒をです。
−酒造りの醍醐味は。
日本酒造りは、米作りから始まる四季の風土に馴染んだもの。自然を相手にゆっくり、あせらず、根気よく造り出すところに面白みがあります。絞りたての酒を味見する瞬間、日本人でよかったとしみじみ感じます。
profile
昭和42年生まれ。津市出身。弘化3年(1846)創業の松島酒造株式会社(安芸郡安濃町)の取締役専務で6代目。杜氏なき後、自ら蔵で酒を仕込み、家業に専念する。趣味は鉄道模型。「松阪レールモデルクラブ」に所属。
【写真キャプション】
松島酒造の製品。「初わらひ」は最も古い銘柄。津の銘酒「高虎」、安濃町産米を使った「安濃誉」など郷土に密着した酒が多い
歴史を物語る木造の酒蔵。いまだに“現役”だ。手前には、昔、使われていた酒米を蒸す大釜がある
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