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20年間で集めたトンボ5万匹

松阪市猟師町・刀根定良さん
 
  少年の心を持ち続ける松阪市猟師町のトンボ研究家・刀根定良さん(48)の家には、約20年前から全国各地で採取し集めた200種類約5万匹のトンボの標本が、びっしり置かれている。「トンボと精通することで自然の大切さ、命の貴さを教えられた。自然には、生命の誕生による命の引き継ぎ、壮絶なる生死をかけたドラマがある」と話す。
  トンボ採りを始めたのは、自律神経失調症の持病に悩まされていた1988年。自然治癒力が治療法の一つにあることを知り、息子とともに松阪市内の森林を散策した。
  そしてある日、岩内町内の電線に止まるトンボを見て、「このトンボはどんな種類でどこに生息しているんだろう」と思い、そこから夢中になった。
  以後、虫あみ片手に全国行脚することに。91年10月には、御在所岳などの高地を好むオオルリボシヤンマを松阪市伊勢寺町で発見。さらに93年8月には、志摩市大王町で絶滅危惧種のベッコウトンボの生息を確認するなど、トンボ同様、自身も飛び回った。
  「実は、子どものころに見た記憶のある全身が真っ黄色のオオキトンボを探し求めて、兵庫県まで行ったこともある。北は山形、南は沖縄・石垣島まで行きましたよ。同じ場所で3、4時間粘るのは当たり前。5万匹すべての採取した時の天候や現地の環境は今でも覚えていますよ」と笑顔で語る。
  97年からは環境省から希少野生動植物種保存推進委員に委嘱され、環境の大切さや必要性を自然体験学習、講演会などを通して啓発に努める。「今は多忙で採取に行けないが標本を公開したり、小学校のプールでヤゴの救出活動を行うなど、違った楽しみがある」とにっこり。
  そんな刀根さんは「トンボは、3億年前から生き続ける。しかしたかが50年前からは激減。環境の変化がすさまじいのが分かる。人が自然を保護するのでなく、自然が人を保護していることをみんなに知ってもらいたい」と力を込めた。