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高齢者など車の運転できない”交通弱者“のための新たな移動手段の創出を目的に、「NPOバスネット津」(福本吉光代表)などが、今年3月1日から巡回バス「ぐるっと・つーバス」を運行開始した。4月1日から運賃を一律100円に設定し、同月15日現在までは1日平均約70人の乗客があり、病院やスーパーを利用する人たちに多大な恩恵をもたらしている。乗客から得たアンケートには「市街地だけでなく、郊外地にも」などの意見が寄せられ、同バスに対する利用客の期待の高さがうかがえる。採算とこれら要望とのバランスを上手く取りながら、住民の望む新たなサービスの展開が期待されている。
今から3年ほど前、三重交通OBの福本さんが知人の竹田治さんらとともに、車偏重の交通社会の見直しや津の市街地の活性化をバスで図れないかと、あれこれ方策を練っていた。
その考えを年金者組合に話したところ、「足が無く、スーパーや病院に行くだけでも一苦労しているので、とてもありがたい」と多くの高齢者から賛同を得た。
それを受けて福本さんたちは、県内各地で様々な役割を担ってきたコミュニティバスに着目。「高齢者や身体障害者など”交通弱者“の外出支援」を主目的に切り替えた。そして、運行の実現に向けて、老人会や自治会への署名集めを開始した。
1万人分集められた署名が、三重交通や市を突き動かした。運行開始までに20回近く勉強会を開催。同社社員や市の職員だけでなく、商工会議所内の第3セクター「つむじ風」や、同市丸之内商店街振興組合の人たちも話し合いに参加。採算面や路線、バス停などについて慎重に協議を重ね、徐々に具体化させていった。
市の直営や第3セクターなど運営方法も様々にある中で、福本さんたちは自ら新たに組織を設立して運営する道を選択。法人化を目指し現在申請中の同NPOが運営し、同社が運行、市が補助と三者がそれぞれの役割を取り決め、3月1日から運行を開始した。
運行時間は平日午前8時30分過ぎから午後5時30分頃まで。津市役所を起点に三重会館やだいたて・丸之内商店街、津観音、津新町駅など市内中心部約8・4キロメートルを巡回。1周約45分のペースで、1時間後には同じ路線を再び走行する。
試行運転期間と位置付けた3月の1カ月間は、乗客数などを探るべく運賃を無料に設定。1日平均約150人と快調な滑り出しを見せた。4月1日からは運賃を現在の100円に再設定し、乗客である市民がこれを負担。
同月15日現在までの1日平均で約70人に乗客数が減少したものの、依然として病院やスーパーを利用する人たちの大きな支えになっている。路線上の近隣のスーパーや病院、商店街などの協賛や市から得た補助も合わせて、採算の見通しも立てた。
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1乗車100円の低運賃と、医療機関や商店街、スーパー、駅などを結ぶ”生活ライン“として機能する点が同バスの一番の特徴。これまで移動手段に乏しかった、高齢者を中心とした交通弱者の利用が高まっている。
”市役所前“から”三重会館西“までの区間で同バスを利用した、同市栗真小川町の三宅和子さん(73)は、「噂を聞いて初めて乗りました。最近足が不自由で、これまで病院までの徒歩の往復に苦労していましたが、これからはバスで手軽に行けてとても嬉しい」と顔をほころばせた。
また同バス運転手の松本勝さん=写真右=も、「利用者の大半は年配の方。低料金で病院などに行ける点が皆さんのニーズに合致し、評判を呼んでいるのでは」。
「皆さんの積極的な利用が、同バス運行の支えになります」と、竹田さんはバスの利用を呼びかける。また、「バスに乗られた多くの方に聞き取りを行った結果、『市街地だけでなく郊外にも』『もっと増発を』『路線内に停留所を増やして』などの意見をよく耳にした。採算面も考慮しながら、増発や新たな路線の開拓など、皆さんの要望に前向きに検討していきたい」と話す。
幅広い声に応えられるかどうかは、現状を見る限り未知数。しかし、住民の声に広く耳を傾けてくれるバスとして、今後も大きな期待を一身に背負うこととなるだろう。
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