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桑名市宮通35の「総本家ぬし勘」(伊藤とみ子代表)は、言わずと知れたかぶら盆の総本家。漆塗りをした欅(けやき)や栓、檜などの盆にかぶらの絵を施した伝統工芸品で、創業は元禄時代にまでさかのぼる。
初代は草木や果実を描いていたが、時の桑名藩主松平定信公(楽翁公)に幕府への献上品としてかぶらの絵を描くよう命ぜられ、文人画家谷文晃が描いたかぶらの絵を下絵に賜った。楽翁公が質素倹約を奨励していたことから、六代目勘六が「粗食に甘んずれば何事も成功する」という意味の故事に由来するかぶらの実を描くようになったといういわれがある。「久波奈名所図鑑」に江戸へ参上するオランダ人が店先でかぶら盆を鑑賞する挿絵からも、土産品として愛玩されていた史実も見てとれる。
現在その技を伝承しているのが18代目の伊藤さん。代々伝わるかぶらの絵を観察しスケッチしては、その技法を会得するまでに10年かかったという。「かぶら絵は家庭円満、子孫繁栄を表すといわれる縁起のいい図柄なので、引出物に多くご利用頂いています。同じ盆でも形や絵付けによって印象が異なるので、用途に合わせて選んでいただければ」と伊藤さん。丸盆から角盆、重箱、吸物椀、茶托、銘々皿に描かれた絵は、葉やひげのかすれ具合が微妙に違う。全国的にもこのような絵付けの漆器は珍しく、素朴な物から雅な物まで、一つひとつの意匠がその歴史をかもし出している。営業時間は午前9時から午後7時まで。年中無休。問い合わせは、電話0594(22)2378まで。
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