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「着物」が静かなブームだ。日本古来の文化が見直される昨今、着物も例外ではない。その着物の魅力について探ってみた。
365日、着物で過ごす
〜玉城町・村木夫妻〜
玉城町で土建業を営む村木満さん(61)・納福子さん夫妻は、一年を通して毎日着物を着て生活している。
「近所のラーメン屋さんに行く時も着物なんですよ」と笑顔で話す満さん。着物の魅力にとりつかれ、20年以上前から着物を着続けている。
「骨董が好きでお寺を訪れたり、お茶会に呼ばれることも多く、自然と着物を着る機会が多くなり、毎日着るようになりました。着物の色や風合いは日本の粋。それが自分流のライフスタイルにぴったり合っています。今は着物以外の服装は考えられないほど気に入ってます。着物を着るようになって、自分の内面・気持ちがシンプルになったように感じます」と語る満さん。今では着物を着て生活していることを、奥さんもそれほど意識することはないようだ。「やはり普段の生活ではシミ・ヨゴレには気を遣います」。
着物だけではなく、髷(まげ)も結っている満さん。このスタイルで京都など旅行に出掛けると、役者さんに間違われるそうだ。男性のための着物普及の会の発足も検討中の満さんは「日本人が最近やっと『和』の良さを見直し始めた。着物の良さを見直し、もっと多くの人に着物を着てもらいたい」。
【写真キャプション】
着物オンリーの村木夫妻。髷を結った満さんの姿を見ていると昔の人はかくありきかと思わせる。
着物の息づかいを京都から
〜津市・紫織庵〜
和服の下着である襦袢(じゅばん)を中心に取り扱うのは津市東丸之内にある紫織庵/夢小袖店。京都の本店は「町家の美術館」として有形文化財にも指定されているほどの歴史を持つ。京都の本店と津市の夢小袖店の2店舗のみの全国でも貴重なお店。
「『おじゅばん』というと、一般的には露出が少なく、下着的なイメージですが、その『隠れたおしゃれ』こそが、日本元来の粋なんだと思います」と語る店長の
森本恭子さん=写真左。着物を染める「型」は、店の歴史を生かした大正時代のものをプロデュースし、色使いを現代風にアレンジ。レトロなテキスタイルが若い世代を中心に人気が出ている。
森本さんは「着物は今、二分化していると思います。好きな人はより着物の魅力に取り付かれ、そうでない人は全く興味がない。現代日本人の生活様式が完全に西洋化して、着物が生活からかけ離れたものになってしまったことなどが理由でしょうか。旅館などの女中さんでさえ、着付けを知らない、着物のたたみ方もわからない人が増えているそうです」と語る。
現在、文部科学省は日本古来の文化を若い世代にも伝えるため、お茶や華道、着付けなどを選択授業としてカリキュラムの中に取り入れる指導を行っている。「昨年から伊勢女子高校で着付けの授業を行っています。お母さんの使っていた着物や浴衣を持ち寄って、みんな楽しみながら和装を楽しんでいます。帯を体の前で結ぶ『前結び』だと、2回目の授業には一人で着付けができる生徒さんもいました」。
同店では津・松阪・鈴鹿・亀山で着付け教室も行っている。お問い合わせは同店=電話059(226)4351=まで。
県内有数の品揃え
〜川まん本店 煌(きらめき)館〜
今年で創業81周年、四日市、鈴鹿に3店舗を持ち、着物に関するものすべてを取り扱っている「川まん」。なかでも四日市市中部の諏訪新道商店街にある本店の煌館は、広々とした店内にデザイナーズブランドの着物や小物が数多く展示されている。
就任して一年になる社長の川口恭さんは「いわゆる『呉服屋』ではなく、フォーマルからカジュアルまで、服装に関係するものを幅広く取り扱うのがうちの特徴です。昨今は時代の流れるスピードが速く、心の豊かさが失われつつあると思います。そのような日常の生活の中でも、着物を着ることによって時間や空間のゆとりを得ることができると思います。着物は昔から現代まで、変わらないから美しく、新しい。このような日本の伝統文化に関わる仕事ができて、私は満足しています」と語る。
着物そのものの良さは、生地も染料も天然素材を使用していることだ。日本で栽培され、培われてきたものは当然、日本の気候風土にも合っている。また、着物を着ると、帯で腰が伸び姿勢も良くなる。着物は日本で生まれ、日本人の体格に合った服装だ。同店2階には「京都嵯峨野和装学院」も開校し、多くの人が着付けを通して、着物の良さを体験できる。
25日(金)から27日(日)まで鈴鹿市飯野の平安閣で着物の展示会「絆展」を開催する。8月8日(金)から10日(日)までは四日市市文化会館2階・第一展示室にて開催。入場は無料。問い合わせは同本店=電話0593(55)3688=まで。
今に伝わる日本の「粋」
〜久居市・なつかしの下駄屋博物館〜
今では珍しい履き物「下駄」。一部の呉服店などで着物と一緒に販売されているのは見かけるが、専門店は数少ない。そんな中、下駄を手作りして販売する店が久居市二ノ町にある「鈴友はきもの店」。この店は地域の自慢のコレクションや伝統ある職人芸を紹介する「まちかど博物館」の一つで「なつかしの下駄屋博物館」の名前で登録されている。
店主の鈴木郁子さんの祖父が昭和19年に東京で始め、その後、久居に移り住んで店を続けたが、洋風の生活文化が浸透し、下駄の需要も少なくなってしまった。「この文化をなんとか現代にも残しておきたい」と思い立った鈴木さんが、下駄づくりの技術を今は亡き祖父から受け継いだ。
昔の下駄はオーダーメイド。鼻緒も台(足を乗せる下駄本体)も好みで選んで、その人に合った下駄を作っていた。鈴木さんは今も店の片隅で、お客さんの注文に合わせて昔ながらの技術で下駄を作り続けている。
「今年2月に行われた、まちかど博物館の博覧会では、多くの年輩の方々が懐かしそうに下駄を手にとって見て下さいました。見た目だけではなく、下駄を作る行程の中にも随所に『日本人の粋』を感じます。下駄を今の世にも身近なものとして残していけたら」と抱負を語っている。
鼻緒は100種類、台が30種類ほどの在庫の中から好みで組み合わせて下駄の注文ができる。工賃込みで一足2000円から。問い合わせは同店=電話059(255)5671=まで。来店には3日前までに予約が必要。火曜日定休。
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