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度会郡二見町は、夫婦岩で知られる全国的に有名な観光地。そして、日本で海水浴場が最初にできた由緒ある地でもある。時は流れ、昔日の思いと共に歴史や文化が忘れ去られていく今の時代に、もう一度、古き良き日本の文化を見つめ直すには、二見町は十分過ぎるほどの魅力を持った町。懐かしさも手伝って何十年ぶりかの「修学旅行」をしてきた。
白砂青松の海水浴場
度会郡二見町、伊勢湾に面した二見浦は、全国に名が知られる観光名所。夫婦岩の日の出は、日本人ならおよそ誰もが知っている風景だ。この有名な二見浦が、日本で初めての海水浴場ができた、海水浴場発祥の地ということはご存知だろうか。日本公認の海水浴場が開設されたのは明治十五年(1882)。神戸の須磨、三浦半島の葉山、そして二見の3カ所。とても由緒正しい海水浴場なのだ。当時は「冷浴」、「温浴」をするなど海水浴は健康を目的とした潮浴びであったという。
その後、利用客も増えて行き、伊勢神宮の賓客用の宿泊施設として明治20年に建てられた「賓日館」(登録有形文化財指定)前の海岸に浴場施設が移された。大正天皇も幼少の頃、三週間にわたり二見浦に滞在。水泳の訓練をされたという。
昭和34年の伊勢湾台風以降、海水浴場は、そこから更に西に移ったが、松林を背景に白い砂が続く「白砂青松」のロケーションは健在。かつては日本各地の海岸で見られた浜辺の原風景がそのまま残されており、「日本の渚百選」にも選ばれている。浜の長さ約1000m、奥行きが約50mの海岸は、毎年夏には大勢の利用客でにぎわう。
【写真】二見浦海水浴場。県内はもちろん関西からも多く訪れる。
夏至の朝日に絶景 夫婦岩
二見興玉神社は、天孫降臨や伊勢神宮御鎮座の時に道案内をしたとされる猿田彦大神を祭る神社。
夫婦岩は神社の沖合い約700mの海中に鎮む猿田彦大神の霊石とされる「興玉神石」の鳥居とみなされているもので、向かって左の男岩は高さ9m、右の女岩は4m、注連縄の長さは35mもある。この大注連縄は「結界の縄」といわれており、縄の向こう側が神の世界で手前を俗世と分けているとされる。毎年5月5日、9月5日、12月の第3日曜日には、この大注連縄の張替えが行われ、当日は崇敬者と奉献神事を一目見ようという観光客で神社はにぎわいを見せる。
岩の間から日が昇る光景が見られるのは、4月から8月まで。中でも夏至の日は、太陽がちょうど神石がある位置から昇ってくる日の出が拝める。神社ではこの日に「夏至祭」を開いており、毎年各地から熱心な信者が集まり禊をして朝日を遥拝する。今年は22日に行われる。二見浦は、生命の根源である太陽の恵みを尊ぶ太陽信仰という、極めて原初的な意味合いを持つ聖なる地なのである。
ところで境内には、大神の使徒とされるカエルの置物が至る所にある。「無事かえる」などの縁起により、ご利益を受けた人たちが献納したもので、ユニークなその姿は見ていて飽きない。
【写真】ご存知、二見浦の夫婦岩。二見浦玉神社には「カエル」が至るところにいる
郷愁の旅館街
JR二見浦駅から二見興玉神社まで約1・2`bの表参道は、今でも往時の面影が残る通り。懐かしい風情の木造旅館、土産物屋、餅菓子屋などが軒を連ねる。
参拝者を相手にした茶屋から始まった二見浦の旅館街。現在、二見浦で一番古くから営業している旅館が、創業280年の老舗「朝日館」(喜多一浩社長・電話0596〈43〉2001)。文久元年(1860)から角屋(朝日館の前身)に伝わる宿帳には、参宮の折、二見浦・夫婦岩の遊覧に訪れた諸大名、公家などの宿泊記録が残されている。明治以降も皇族の宿として利用され、昭和天皇が行幸の折には貴賓室に宿泊された。
海水浴場が開設され、日清・日露戦争の戦勝祈願や傷痍軍人が保養目的で訪れるようになると旅館の数も増え、さらに修学旅行も始まり、大正から昭和の初めにかけての二見浦は隆盛を極め始める。臨時列車が日に何本も到着し、修学旅行、林間学校の小中学生が旅館まで歩いていく光景が数多く見られ、「修学旅行のメッカ」とまで呼ばれるようになっていった。
今でも、常宿を持ち、毎年訪れる学校があると聞き、なんだかうれしくなった。旅館で夕飯を終え、土産物屋に繰り出す小学生とその様子を見て微笑んでいる御婆さん。清清しい気分で旅館街を後にした。
【写真】二見浦旅館街。夕方、修学旅行の小学生が旅館に到着
代々続く二見の老舗
二見町は、昔からの伊勢神宮の参拝者の禊ぎの場として訪れる地でもあり、
興玉神社の参道には、旅籠や茶屋などが軒を連ね、宿場はたいそうにぎわいを見せた。今でも往時の老舗が、昔と変わらぬ名代の逸品を作り続けている。
くうや餅 0596(43)2067
創業明治26年「鈴木翠松堂」のくうや餅はもち米をつぶさず粒の形を残したものでこし餡を包んだ菓子。「今までは祝い菓子が主でしたが、今後は多くの人にPRしていきたい」と店主の鈴木成欣さん。18〜23日には津松菱の物産展にも出店する。津チャムや関ドライブインでも購入可能。10個入り900円(税別)。
多市屋 0596(43)2213
大正時代の茶屋から始まり、4代続く和食処「多市屋」。日替弁当、丼物、定食から会席料理と幅広いメニューが特長。中でもおすすめは、二見名物さざえのつぼ焼きとビールのセット(1100円)。これからの季節にぴったり! 大あさりとビールのセット(1000円)もある。
菊一文字則宗本店 0596(43)2116
新撰組・沖田総司が愛用していたという伝説もある名刀の名を掲げた刃物専門店。初代が岡山県から移り住み始めたのが明治時代という老舗だ。戦前までは参宮みやげに刀を買って行く人も多かったが、現在は包丁や剪定ばさみなどを求めに来る職人に重宝されている。
酒素饅頭 0596(43)2226
創業大正2年、「旭家」の酒素饅頭は、ほおばると甘酒の香りが口いっぱいに広がる素朴な饅頭。つぶあんもあっさりで何個でも食べられる。保存料を使わないのも特長で、その日のうちに売り切る。堅くなったらオーブントースターなどで少し焼くと美味しく食べられる。10個入り730円(税込)。
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