|
農家の田んぼを借りて大規模農業を展開するなどユニークな事業で注目されている有限会社松幸農産(本社・伊勢市川端町、松田丈輔代表取締役)は、多気郡明和町前野里中の同社オペレーションセンター農場で、自然養鶏を始めた。従来の近代養鶏と決別し、また従来の平飼い養鶏をさらに進化させた自然養鶏だ。鶏舎に敷いたワラに含ませた微生物が糞を分解し、臭いが全くしないのが特徴。随時、見学者を受け入れ、産卵が見込まれる8月から卵を販売する。
松田代表取締役はまだ31歳という若さ。米の生産で出るワラ、モミ、米ぬかなどを有効に活用できないかと思案の結果、たどりついたのがこの養鶏だ。
知人の薦めで、先進的な群馬県内の平飼いの養鶏を見学。「これだ」と直感し、早速この養鶏を取り入れようと思案したが、「相当難しい」ことが分かり、同農場の農場長・高瀬宏一さん(42)を同社に迎え入れた。
高瀬さんは、沖縄のヤマハリゾートの農場に勤めていた際、EM菌で知られる琉球大学の比嘉照夫教授の教えを受け、有用微生物を活用した養鶏に取り組んでいる。
松幸農産では、鶏舎を3.6b×8.1bの広さに仕切り、床に微生物を含ませたワラを約7aの厚さに敷き詰め、その中に鶏を120羽放し飼いにしている。
鶏の糞は、ワラの中に紛れ込み、ワラに含まれた微生物がたちまち糞を分解するため、床には糞がほとんど見当たらない。ワラの上に座っても服が汚れないほど、さらりと乾燥している。
この不思議な働きをしているのが、地元の培養土や鶏の糞などから培養した微生物群。そして、鶏の生命力を最大限に発揮させる日々の研鑽飼育である。「人が卵を作るのではなく、鶏から卵を頂ける」という原点に徹している。
このほか、鶏に飲ませる水は、滝のように高いところから麦飯石の上に落としてミネラル分を含ませる、鶏舎の屋根を丸くして内部の空気の流れをつくる、太陽の光を取り込むなど、できだけ自然に近い環境を作り出しているため、鶏にストレスを与えず、ほとんど鳴くことがなく喧嘩もしないという。
松幸農産では現在、3棟の鶏舎で約2000羽を飼育しており、高瀬さんは「鶏の生態や自然の摂理に従うことが大切」と話している。
問い合わせは同社=電話0596(55)3578=まで。
|