がんの補完代替医療とは(2006.3.23号掲載)
先ほど、厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班が編集し、日本補完代替医療学会が監修した「がんの補完代替医療ガイドブック」という冊子が発行されましたので、内容を簡単にご説明いたします。日本の現状として、我が国における補完代替医療の利用実態として、がん患者における代替療法利用者が44・6%であり、その内訳として健康食品やサプリメントを利用している割合が96・2%いると報告されています。しかしながら、「わが国においては、残念ながら補完代替医療に取り組む専門の政府機関がなく、この分野では欧米に比べ遅れています」と率直に政府の対応の遅れを認めています。
世界の現状の説明では、まず米国では、政府が年間約115億円の予算を使い、補完代替医療の科学的検証を行なっており、ホワイトハウスにも補完代替医療政策委員会が設置されていること。英国においては、チャールズ皇太子の発案で、国家レベルでの補完代替医療の研究が現在進められており、1991年には英国保健省が「開業医は補完代替医療の治療家を自分のクリニックで雇用してもよい。その費用は、国の保健でまかなう」と決断を下したことから積極的に補完代替医療が臨床現場で利用されていることが報告されています。
このような補完代替医療に関するガイドブックを、政府の関係団体が作ったのは初めてのことであり、その背景には、先ほど述べたように、海外に比べ、政府の対応が遅れていること、がん患者において約半数の患者が代替療法を実践していること、などが考えられます。また、昨年から続いている健康食品にかかわる法律違反や、健康被害なども背景にあると思われます。現在、国民の健康に対する関心の高さや、自然志向により、健康食品の市場は急拡大しています。しかしながら、健康食品の中には別に食べなくてもよいものや、場合によっては食べてはよくないものも存在します。このガイドブックでは、補完代替医療に対する心構えとして、「家族も含めて、利用しようとしている補完代替医療に関して広く情報を集め、その利用のメリットとデメリット、例えば科学的に有効性と安全性が確認されているかどうか、費用のことなどについてしっかりと検討する必要があります。その上で、その補完代替医療を自らの責任で選択する心構えが必要になります」と説明しています。
|